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 門倉の勃ち上がったものを見て、梶は「ひぃっ」と小さく鳴いたっきり押し黙ってしまった。ベッドの一番端まで逃げて、体操座りでふるふると震えている。梶は全裸で、門倉も全裸だった。今までハグやキスで散々甘やかされながら体を慣らされて、すっかり梶のアナルも受け入れ態勢に入っていた。さぁそろそろと門倉が下着を下ろしたら、だ。今までとろんとした目で門倉を見つめていた梶が、いきなり夢から醒めたように真顔になって、冒頭を叫んで門倉の元を逃げ出してしまったのである。

「梶?」
「ななな、なんですかソレ……! 無理……! そんなおっきいの、無理……!」

 梶の視線が門倉の下半身に注がれている。立派にそそり立った性器は平均より遥かに大きく、梶は思わず自分にくっ付いているソレと門倉のブツと見比べた。
 本当に同じ器官かと疑いたくなるほど色々違う。自分のものが多少頼りない造りであることは否めないが、大きく常識を逸脱しているのは多分門倉のほうだった。
 例えるならまるでママチャリとハーレー・ダビッドソン。姿かたちもまるで違い、跨って移動するという用途が微妙に似ているのみである。

「えっそれチンコですか!? 本当に!?」
「そらチンコよ。こんなトコに足生えとったら困るじゃろ」
「いやもうワンチャン足のほうが可能性ありますよそのサイズは!」
「マジか」
「それでトイレするんですか!? 立ちションするとき便器に付きません!?」
「それは角度調節すれば別に……ただ座って用足す時は正直どーにもならん場合があるから出来たら和式が良い」
「こっわ何その巨根あるある!」

 僕デカくなくて良かったァ! と他人事のように梶が言う。門倉は何とも言えない気持ちになって、自身も梶同様、自分の下半身に注視した。
 眼下では三十年以上苦楽を共にしてきた息子が出番を待って突っ立っている。今日も今日とて頼りがいがある威勢の良さだが、雰囲気をぶち壊されたショックからか、先程より心なしか元気がなかった。

「まぁ普通よかデカいかもしれんが、大丈夫なだけ解したし平気よ」

 言いながら門倉はへたれた己の性器を扱く。体格を思えばこの程度の質量があってもおかしくないのでは、というのが門倉本人の感想だったが、門倉の主観には、そもそも彼の体格が規格外であることは加味されていなかった。馬鹿デケェ門倉に相対するサイズ感の性器ならそれはもう馬鹿デケェ性器に違いないし、平均的な体格を持つ梶が怯えてしまうことも、本来なら当然の帰結である。

「いやいや無理ですよ無理! 僕のお尻のことゴム製か何かかと思ってます!? 伸びませんから! そんなに縁!」

 梶がキャンキャンと吠える。せっかく萎びて少しは接しやすいサイズに戻っていた門倉の性器が、扱かれてたちまち元のサイズに戻っていたことが恐怖だった。勃起を維持させるということは、当たり前だが門倉に挿入の意志が未だあることを示している。反射的に逃げようとする梶を、それよりも早く門倉が捕まえた。子犬を抱き上げるように軽々と持ち上げ、門倉はベッドの上部まで梶連れ戻す。ひええ! と梶が叫んだところで、門倉に覆い被られるともう梶に逃走の余地はなかった。

「はい、足開いてー」

 膝裏に腕を差し込まれ、門倉の一存で簡単に梶の足が持ち上がる。
 軽く抵抗してみたがやはり門倉には痛くもかゆくもないようだった。力で梶が門倉に敵わないことは重々承知だったが、それより丹念に解された自分のアナルが、心とは裏腹にひくついて門倉を受け入れようとしているのが梶にとっては何だか複雑だ。

「ひぅ、う、うぅ……!」

 門倉の性器が穴に押し当てられる。熱さを皺が伸び切ったところにまで感じて梶はゾッとした。まだ先端を押し付けられただけなのに、明らかに熱を感じる範囲がおかしい。えっこれが入る? 本当に?

「力抜き。少しでも痛がったりしたら止まるけぇ、なーんも怖がることないよ。大丈夫じゃから。ね?」

 額にキスをされる。柔らかな唇に一瞬表情を緩めた梶を見て、門倉は見逃すことなくもう一度梶にキスをしてやった。
 立会人としては厳しく怖い人物だが、門倉雄大自体はひどく甘やかしたがりというか、尽くすことが好きな愛情深い男だ。もっと、と媚びるような梶の視線に機嫌を良くして、門倉は梶の体を折り曲げたまま戯れのキスを繰り返してやった。求めただけ唇で応えてもらえると、梶の強張っていた体も少しだけ力が抜けていく。
 門倉の言葉に嘘があるとは梶も思っていない。わりと乱暴なところもあるけれど、少なくとも恋人として触れる手は優しい人だ。前戯だってずっと優しかった。その場しのぎの言葉を吐くような不誠実な人でもない。分かっている、分かってはいるが。

「んん……お願いです門倉さん。やっぱり、許して……」
「ワシが信用ならん?」
「そうじゃないけど、でも、どうしても怖くて……今日はまだ、ゆ、指だけで……」
「指なんてもう何回もやったじゃろ。変わらんよ、何度同じように慣らしても。な、ちょっと頑張るだけ頑張ってみん? いつかは踏み切らんと先には進めんよ?」
「でも、でもぉ……!」

 梶が門倉の体にしがみ付く。頼りがいのある背中に腕を回し、梶は隙間なく肌を門倉に密着させると駄々っ子のよう首を振った。

「可愛いことするねぇほんとに」
「おねがいです。おねがい……」

 年下の恋人に門倉は存外甘い。今まで散々甘やかされてきた梶は、したたかなことに、正直今回もこの手を使えばどうにかなると内心思っていた。門倉さんは本当に僕が嫌がればきっと引いてくれる、という信頼感が門倉に対してある。門倉がため息を吐いて、いつもみたく「しょうがないのぉ」と抱きしめ返してくれるのを梶は待った。
 しかし、今日はどれだけ待っても、一向に門倉の腕が梶の背に回ってこない。

(あれ?)

 おかしいな、と首を傾げ、抱き着いたまま梶は不思議そうに門倉の顔を見る。

 浅いため息を吐いた門倉が一言、

「――少し甘やかしすぎたかもしれんのう」

 と自省するように呟くのを梶は聞いた。

 門倉の握力が増した。梶の足を更に持ち上げて、体を強引に折り曲げる。足が顔に付くほど深く開かれ、梶の穴は丸見えになっていた。突然キツい体制を取らされて、梶は訳も分からず息を詰まらせる。

「んぐぅ……!?」
「おどれ成人した男じゃろうが。いつまでもガキのようにピーピー喚くな」

 声のトーンは変わらず柔らかい。が、言葉には今までにない棘があった。梶の機嫌をうかがうような下手に出た甘ったるい言葉ではなく、現役ヤンキーそのものの荒っぽい言い回しに梶はドキリとする。
 門倉の手が梶の尻たぶを掴む。左右に割ると抵抗もなく穴がくぱ、と口を開けた。中に空気が入り込んでスースーする。思っていたよりも緩んでいた自分のアナルに梶は赤面し、気を紛らわせるように門倉に噛み付いた。

「ひどいっ、いっつもガキ扱いするくせに、こんな時だけ大人って……!」
「あほぅ。本当にガキだなんだと思うとるわけあるか。児ポに抵触したら同郷の警視正が殺しにかかってくるわ」
「児っ……!」梶は意識が遠のきそうになる「僕これでもけっこういい年です!」

 門倉と梶はそれなりに年の差があるカップルだが、それでも犯罪になるような後ろめたい関係ではない。ロクに抵抗が取れないなりに、足をパタパタと動かして怒りを表現する梶を、門倉は口元に弧を描いたまま見下ろした。

「おん。知っとるよ。だからこうして二人、裸で居んのよ」

 ぽっかり空いた穴が門倉のもので塞がれた。梶が制止の声をかける間もなく、上から楔を打ち込むようじわじわと門倉が浸食してくる。

「は……うぁ……!」
「腹ぁ括れ。大人じゃろうが」
「ンァあ……ッ!!」

 つぷん、と先端の膨らみが梶の体内に入り込んだ。一番太いところを通過して、後は上から押し込まれるまま、ゆるゆると門倉のものが梶の中に入ってくる。大きい。太い。みちみちと縁が広げられるにも関わらず、不思議と痛みは無かった。圧迫感は凄いが、それよりもじわじわと中側から何かがこみ上げてくる感覚がある。
 はくはくを息を吐きながら、梶は目を見開いた。

「待っ……!? ぁ、あ、かど、くらさん……! な、なんかへん、……ァっ、……変ですっ……!」
「だーから言っとろうが。ワシがそんなヘマするかい」
「なんっ……ン、あ、あぅ……!?」
「息詰めんと、ゆっくり深呼吸。もう半分入っとるよ。上手やね、梶は」

 門倉が褒める。もう半分入ったと言われ、梶は目を見開いた。
 半分入った? あのとんでもないサイズが、もう半分も?
 勿論苦しくないわけでは無いし、体内の質量が増していることもひしひしと感じている。みっちりと満たされたまま熱がせり上がってくる感覚は、今までに梶が経験したことのないものだった。ただ、先端を抜けてからは熱が押し寄せてくるだけで本当に痛みが無い。腸内などグネグネと入り曲がっているから痛みを感じても良いものだが、挿入の角度なのか速度なのか、経験の浅い梶には分からないが、門倉が調整することで痛みは全て遠のいていた。

「上手上手」
「ん、ぉっ、……ぅ……あっあっ」
「頑張れて偉いね。すごいのぉ梶は」
「ぁ、う……あ、ァあっ♡」

 褒められながら微笑まれながら、少しずつ門倉の顔が梶に近付いてくる。梶の尻にじんわりと素肌の温かみが伝わってくる頃には、キスが出来そうな距離にまで門倉の顔が迫っていた。
 間もなく、全部入ったよと言って、門倉が労うように梶に唇を落としてくる。

「んっ、ふ、ぅ……はい、った……?」
「うん、全部ね。梶の中ぬくくて気持ち良いわ」
「う、そ……! 全部、あんなに、たくさんあったのに……?」
「痛かった?」
「いたく、なかったです……え、な、なんで……? なんで痛くなかったの……?」
「梶に才能があったんやね。それか、よほどワシらの相性が良いか」

 中に埋め込まれたままの門倉が、僅かに体を揺らした。体内に埋め込まれた門倉の性器が微妙に動き、梶の中を刺激する。

「ッ、ンあっ、あんッ♡…………え!?」

 途端に漏れだした自分の声の甘さに、梶はにわかには信じられず素っ頓狂な声を上げた。
 今のが、自分の声?
 作ったわけでも、出そうと思って出したわけでもない。門倉の性器で中の壁を少し擦られただけで、梶の中に甘い痺れが生まれた。頭に『?』を浮かべて何故かキョロキョロと周囲を見回し始めた梶を、門倉がにんまり、悪い笑みを浮かべて悠々と眺める。

「どうやら相性良さそうじゃね」

 門倉が梶の足から手を離す。足をベッドにだらりと伸ばした梶の、股の間を陣取った門倉がゆるゆると律動を始めた。
 性器がゆっくりと引き抜かれ、またゆっくりと入ってくる。門倉がある一点を通過するたびに、身体を電流が走り抜けていくような感覚があった、わざと狙ってそこを押し潰されると、梶の体は意識に関係なく大きく仰け反ってしまう。

「ッあっ、んふっ、ァ……♡なに、っ、これぇ……!」

 何かマズいかもしれない。門倉が動くたびぐずぐずと溶けていきそうになる自分の頭に、梶は言い知れない不安を覚えた。
 門倉は梶の様子を観察しながら、辛抱強くゆっくりと腰を動かしてくれている。出入りの間隔が短くなっても気遣いのおかげか相変わらず痛みは無かったが、けれど押し寄せてくる快感は、津波のように、間違いなく穿たれるたび勢いを増幅していた。

「んァあっ♡ん、ぉっ……あぁ……!♡」

 腹筋は梶の意志に関係なく力が入り、体内はぐねぐねと動いて勝手に門倉にまとわりつこうとしている。腰を引かれるたび肉が門倉を繋ぎ止めようと締まり、また門倉が埋め込まれると、今度は腸内が門倉の為に道を開けようと喜んで広がった。
 梶は放り出された脚をピンと伸ばし、シーツを足指で掴む。気持ち良い。気持ち良いけど、え、ちょっと、待って。これなんか、大丈夫なの。大丈夫じゃないよねこれ。なんかちょっと、気持ち良すぎない?

「待っ、かどくらしゃ……! ♡ぉっ♡ほっ♡ちょ、……ぅんっ♡みゃ、ってぇ……!♡♡」

 何か言葉を発するたび、強制的に語尾にハートマークが付いてしまう。快感が背筋を上がって来て、そのまま梶の脳内に滞在していた。気持ち良いが蓄積していく。門倉は両手を梶の顔の横についたまま、ぬちぬち、変わらずゆっくりとした速度で動いていた。単調な動きにも思えるのに、一定で、けれどイイトコロを的確に抉り続けていく門倉に、梶の理性が順調に剥ぎ取られていく。

「待つって、なんで? ゆっくりやっとるし、見たところ痛くも無さそうじゃが」
「ちがっ……♡ほっ、あん、アっ……♡! んっアぁあッ♡ッ♡んっんンァ……にゃん、か……♡きもち、よしゅぎてぇ……!♡」

 どうにか快感を逃がそうと体を捩らせるが、そのたび門倉が腰の動きを変えて、やっぱり梶が一番弱く感じるところを突いてくる。特にゴリッ、と中のしこりのようなものを抉られると、梶はどれだけ抑えようとしても絶対に声が出てしまった。先ほどから門倉に執拗に狙われて、指でも何度か責められたことがある部分だ。たしか前立腺といったか。
 指で触られていた時はビリビリとした感覚が妙に怖くて、過ぎた快感に対処がしきれず、梶は毎回早々に門倉に泣き言を垂れていた。今日はそこもう嫌です、と梶が申告すれば、門倉はそのたびすんなり意見を飲んで、それ以降は触らないようにしてくれていたが……あれが本当の優しさではなく、門倉自身で穿つとき用の楽しみにとっておいただけだったことを梶は今更ながらに身をもって悟る。

「やぁっ、! ッ、かどくらしゃんっ♡気持ちいとこっ♡もっ、触んないでっ♡!」
「気持ち良いとこって? ここ?」
「アアアア♡♡♡らめっ♡そこぐりぐりっ♡んぉっ♡アンッ♡ぐりぐりしゃれるとっ♡らめっ、きもぢぃっ♡♡」
「気持ち良くて良かったね。ほんならそろそろ本気になるから、舌噛まんようにね」

  門倉が体勢を変える。本気を出されるまでもなくトロントロンになってしまった梶は、門倉の目が一層ギラついたのを見てふるりと身震いをした。

「やぁ、っ……! そんなっ♡♡本気、むりっ……むりですっ♡僕、はじめてなのに……!♡♡♡」
「すごいよなぁ。初めてなのにこぉんな喘いで……じゃ、この調子でオカシくなろうか」
「あ、……ひっ、~~~~ッ!?♡♡♡」

 ぐるん、と梶が白目を剥いた。
 片手で梶の腰を持ち上げた門倉が、一気にぐちゅんッ! と中を貫く。ニィィと瞳孔の開いた目を眇めた門倉は、そのまま梶の腰を固定し、今までとは打って変わって自分本位の激しいストロークを始めた。

「んぎッ!? ♡ぎ、ぁ゛あッ♡♡あっ♡あ゛ぁっ♡♡ぉごッ♡♡ぃ、お゛ッッ♡♡♡♡♡」
「声きったな。あ゛ーたまらん、アホほど興奮するわ」
「い゛あ゛ぁッ! ♡♡♡ごんごん、や゛ぇへぇッ! ♡♡♡おぐッ♡♡♡おぐや゛らぁあぁ゛ぁぁッ♡♡」

 先ほどまでとは比べ物にならない衝撃が梶に降りかかってくる。容赦なく前立腺を潰され、そうかと思ったら奥まで無遠慮に貫かれた。行き止まりのようになっている所を何度も突かれ、振動が腹の奥まで響き、気が狂いそうだ。

「あ、はぁ、う、うぅ゛うッ♡♡゛あぁあ゛あっ♡♡゛あ――! ♡♡……っぐ♡イッ、く! ♡♡あっ、あ、い、ぎぃいッ!♡♡♡♡」

 触ってもいないのに梶の性器からダラダラとカウパー液が垂れ流れている。開きっぱなしの口からは涎が伝い、だらりと舌も外に放り出されていた。舌をしまうことさえ出来ず、あへあへと卑猥な声を垂れ流して悶えている。初めて味わうにはあまりに強い快感に、耐えきれず意識が飛びそうになる梶を、犬歯を剥き出した門倉が尻を叩いて引き戻した。

「んほぉおッ!?!?♡♡♡♡」
「白目剥いとんなや! おどれが誰に掘られて善がっとるかちゃんと見とけ!」
「あ゛あぁ˝ああッ! ♡♡♡だめっ♡だ、~ッ、! ♡♡らめぇえ♡んほッぉ゛♡お、ぉ˝おっ♡おおぉお!♡♡♡」
「何がダメだ!? ア゛!? 言うてみぃ! 何がダメなんじゃ! どこもかしこも媚びよって、よぉもまぁケツが怖いだの、ピーピーほざけたもんじゃのぅ!」

 門倉が怒鳴るように声を上げる。荒々しい口調で梶を責め立て、肩や内腿に興奮のまま歯型を残していった。
 実のところ、梶の痴態を見せつけられて門倉もとっくに限界だったのだ。可愛い可愛いと猫かわいがりしてきた年下の恋人が、自分に揺さぶられて身も蓋もない乱れ方をしている。性器を震わせ、先走りをまき散らしながら快感に喘ぎながら門倉を受け止めて喜んでいる梶に、狂うなという方が無理な話だった。

「おどれのええとこ抉られて奥ぶち抜かれて、気持ちええじゃろ? なぁ! 大人で良かったなァ梶!」

 ドチュン! と腰を打ち付けるたび殴っているかのような重い音が室内に響き渡る。肉がぶつかりすぎて真っ赤になっている梶の尻は、きっと明日にはいくつも痣が出来ているだろう。理性が飛んでしまった怪物に貪られて、梶の体はガクガクとそこかしこが痙攣していた。もう気持ちが良いのかどうかも梶にはよく分からない。思考が擦り切れて、ろくにものを考えることが出来ず、でもこの瞬間、梶は門倉の腕に必死に縋り付いた。

「よかっだですっ♡ぼくっ、おとなでよかっ……ひっ! ♡あ゛っ♡♡お゛っ! ♡っ、♡かどくらしゃんッ♡かどッ……ッ……~~ッ!! ♡ァ、くるっ、くる゛…ッ!♡♡♡ ぉッ♡゛あ、! あ゛ッ♡♡♡♡♡! んほっ!♡ あ、あ゛ーッッ♡♡゛イ、ぐ……ッ♡♡イッちゃ、ア゛あァッ!!♡」
「……ッ、さっさとイけ! イってまえ! 手伝ったるけぇ、イけや! ほら!」

 門倉がスパートをかける。再び梶の弱いところだけを突き続けて、ずっと触られずにいた梶の性器を、門倉の大きな手が扱き始めた。
 梶が大きく背中を仰け反らせ、絶叫する。

「やあア゛アああ゛!!!♡♡♡♡ しこしこッ゛♡♡!ヤら゛あぁッ!! ♡゛ぉ、ぎ、いッ! ♡♡あぎッ! ♡♡あ゛ッ、˝イ、イグイグいぐッッ♡♡♡んあ!♡ あ゛アァー~~~ッ!!♡♡♡♡♡♡」

 ビクンッ! とひときわ梶の体が大きく跳ね、門倉の手の中に精液が勢いよく吐き出された。体内の締め付けが強くなり、間もなく門倉も息を詰めて梶の中で欲を吐き出す。ずるりと自身を引き抜き、コンドーム内に見たこともない量の精液が吐き出されているのを確認して、門倉はいかに自分が必死だったかを思い知るとヒクリと口元を引く付かせた。

「ハァ……は……はは……なんじゃこりゃ……」

 梶はシーツの上に脱力し、ぜぇぜぇと荒い息遣いをして胸元を上下させている。絶頂から降りてこられないのか視点は焦点が定まっておらず、ぼんやりと天井を見上げたまま、時折ビクビクッ! と余韻イきを繰り返していた。
 はじめてにしては壮絶過ぎたセックスに、どうも梶の体はキャパオーバーを起こしたようだ。未だ細い喘ぎ声をこぼし続ける梶の頭を撫で、門倉は体液でぐちゃぐちゃになった梶の顔にキスする。

「おつかれさん」
「っ、ん、んうぅ……!」
「あ、すまん」

 梶が体をわななかせ、射精こそしなかったが、軽くまた絶頂した。
 達した直後の敏感な体は、どんな刺激も快感に変換してしまうらしい。呼吸が整うまで待って、少しずつ正気を取り戻してきた梶の顔を門倉は覗き込んだ。

「生きてる?」
「し、死んだかも……しれません……」
「梶、才能有りすぎ。一発で骨抜きになったわ」
「それはどうも……かどくらさんもあの……いやもう……何アレ……」

 思い返すとお互いとんでもないことになっていた気がする。ほんの数分前の己の痴態を思い出し、梶は穴があったら入りたい気持ちで枕に顔を埋めた。

「まぁ何はともあれこれで大人の階段上ったね。おめでと」
「大人の階段、ハードすぎです。階段じゃなくてもはや登山でしたよ」
「上手いこと言わんでええけど……で、どうする? 今日はもう止めとくか?」

 ゴムの端を縛って門倉が言う。視線はベッド脇のコンドームの箱に向けられており、未使用のゴムが箱の開け口からチラ見えしていた。
 一発思いきり抜いたことで、門倉にはある程度の余裕が戻っている。今度は自分勝手に動いた初回とは違い、梶の快楽をゆっくり引き出すようなセックスが出来るだろうと思った。

「に、二回目……?」
「うん、まぁ休憩は挟むけど。次はもう少しまったり気持ち良くしたるよ」
「まったり……」
「梶が気持ちいいって言うとこ好きなだけ突いたるし、怖くなったらぎゅってしたげる。ちゅーももっとしようね。あとは、梶アレやろ、浅いとこで泣くまで焦らされるの興味あるんやない? ええよ。何でも付き合うわ。門倉さんのちんぽでオナニーすんのが一番気持ち良いって、今日は梶の体に教えてあげようね」
「そ、そんなの……!」

 梶が枕からひょこっと顔を出す。気まずそうに視線を泳がせた梶は、我慢できないとばかりに門倉に見た。全身から雌のにおいをプンプンさせ、期待がありありと浮かんだ瞳を門倉に向ける梶の表情は、散々大人だなんだといっておいて何だが、さながら悪い遊びを覚えてしまった子供のようだ。

「そんなの言われたら……! ま、まだ夜はここからで……僕たち大人なんだから……そんなの、乗らないわけ無いじゃないですか……♡♡♡♡♡♡♡」