レストランは都心のど真ん中にあり、高くそびえ立つビルの最上階、さぁイベントごとに使ってくれ! と言わんばかりの場所に豪華絢爛な店内を携えてどっかりと腰を下ろしている。
世に名の知れた有名店だ。『クリスマス 高級レストラン』とか『誕生日 スペシャルディナー』で検索すると真っ先に名前が出てくる店で、この前なんか本屋でるるぶを立ち読みしていたら、『特別な日の思い出に!』という特集でドドーンと見開き一ページ目に掲載されていた。
超王道店。イベントごとにおける選択肢の定番。
そんな所に、本日、僕は話したいことがあるという貘さんに誘われている。
マルコの今晩の食事は百鬼夜行で面倒を見てもらうらしい。夜行さんに連絡を取ったり、一人だけ除け者にしてしまうことをマルコに謝ったのは全部貘さんだった。
「ゴメンねマー君。今日は梶ちゃんと大事な話があるの」
そう言ってマルコにポテチを手渡す貘さんを見て、流石の僕も『あぁそうなのか』と事の次第を察した。
有名レストランは便利だ。食やその手の話題に疎い人間でも、誘われたら『あぁ今日はそういう日なんだ』と納得できる。
夜の一九時。闇社会に生きる僕達にはまだ太陽の余韻が感じられて少しだけ居心地の悪い時間から、僕は貘さんに連れられ、このレストランで一番眺めの良い席に座っていた。
「僕ここ始めて来ました。景色綺麗ですね」
「季節のコース料理頼んどいたよ。梶ちゃん、メインは肉だよね?」
「肉が良いですねぇ。貘さんも?」
「勿論。メインにスズキのポワレとか? 出されても? いや淡白~! ってなんない?」
「なります。アレと牛肉のステーキが同じメインポジって、なんか無理ありますよね」
「ね」
いつものように他愛もない会話をして、食前酒をかんぱーい、と二人同時にあおる。前菜にはサラダと一口サイズの御惣菜みたいなやつが何個も乗った皿がやって来た。一つ一つ味が全然違って、小さいのに全部味が濃くて美味しい。
「うわ、うまっ。貘さん、ここの料理美味しいですね」
粛々とした店内に僕の場違いな大声が響く。ぽっかりと天井に空間が空いた店内は、少しの音も拾ってしまうらしかった。
ちょっとテンション間違えたかもしれない。気恥ずかしくなって貘さんをチラッと盗み見ると、ずっとこちらを見つめていたらしい貘さんと目が合った。普段なら僕の失敗を面白おかしく取り上げる貘さんが、今日はふわんってビックリするくらい綺麗な笑顔で微笑んで「美味しい? 良かった」と言う。
「梶ちゃんはどれが好きだった?」
貘さんが前菜の皿を指差す。ええっと、と空っぽになってる自分の皿を覗き込んで、皿に残ったソースを手掛かりに、先程まで料理が置かれていた一か所を僕も指差した。「ここにあったイクラが乗ってたやつです」
既に胃の中に納まっているものを思い出しながら言う。貘さんはまだそれを食べていなかったから、僕の回答に「わ、楽しみ」と声を弾ませてすぐにフォークを動かした。
「あ、美味しいね。俺もこれが一番好きかも」
「ですよね」
にこにこしてる貘さんを見て僕もにこにこする。塩味がどうだとか、ソースの香りが云々とか、そんな細かい話はしなかった。ただ僕が美味しいと言い、貘さんが同調し、僕が「ですよね」と改めて頷く。多分今日はこの一連の流れにこそ意味があって、今日の貘さんはきっと僕が何を一番にしても、恭しくその料理を口に運んで、「俺もこれが一番好き」と言ってくれたんだろうと思った。
会話という会話が意味を成さなくても良い。だって今日はそういう日なのだ。
「メインに魚を選ぶ人って、なんか玄人感ありますよね。僕だったら絶対肉ですもん、料理とか見ないで、とにかく肉」
「いやー分かる。でもさ、それって多分俺たちが今の年齢だからなんだよ。いつか肉より白身魚を選択するようになる」
「胃もたれ的な?」
「胃もたれ的な」
チラっと横を見る。上品な服装の老夫婦が上品な会話をしながら食事を楽しんでいて、二人の皿には話題の魚料理が乗っていた。散々僕達が扱き下ろし、絶対メインの選択肢には入れないよね、で意見が一致したスズキのポワレに老夫婦は舌鼓を打っている。僕や貘さんの前にあったら寂しささえ感じられる白身魚が、老夫婦の前ではなんだか華やいだ存在に見えた。アレだ、適材適所。おじいさんおばあさんの上品な雰囲気とか表情には、赤黒いステーキはちょっと派手で悪目立ちする。スズキのポワレくらいが彩りにはちょうど良いのだ。
老夫婦のおばあさんと目が合いそうになったので慌てて視線を貘さんに戻す。まだまだスズキのポアレよりレアステーキの方がピッタリ似合う貘さんが、僕と目を合わせてヒラヒラと手を振った。
「僕らも胃もたれを理由にいつか魚を選ぶようになるんですかね」
「俺はわりと近いかもしんない。最近焼肉行くとあんまり食べられないし」
「貘さん最近ホルモン一緒に食べてくれないですよね。マルコも内臓系苦手だから、ちょっと寂しいです」
「バレてたかぁ」
食前酒を飲み干す。タイミングよくウエイターがやってきて、御飲物はいかがいたしますか、と聞いた。貘さんがワインの名前を伝え、用意されていたかのようにサッとボトルがテーブルに届く。ワインを持ってきてくれたソムリエっぽい人がラベルを見せつつワインの説明をして、どう見たって貘さんの方が年上っていうか格上そうなのに、僕のグラスへと先にワインを注いだ。
「なんか、黒い。良いワインって黒いんスね」
「んー所説あるとは思うよ」
僕らの会話をソムリエっぽい人が含み笑いで聞いている。銘柄や産地をきちんと覚えることは出来なかったけど、ラベルの製造年が僕の生まれ年だったことだけは分かった。
「ホルモンもなんだけど、最近俺〆のラーメン要らなくなってきたんだよね」
「え、嘘でしょ? ラーメン食べないで飲み会終われなくないです?」
「やーそれがね、全然シャーベットとかで良くなってきちゃったの。梶ちゃん食べたことある? 柚子シャーベット。あれすげぇ美味いよ」
「あーどこの居酒屋にも大抵あるやつ! アレ女子向けだと思ってたけど違うんですね」
「ヤバいかな? 早いかな、俺。今はまだとんこつラーメンに半チャー付けるけど、来年くらいにはあっさり塩ラーメンしか食べなくなったりして。ヤバい、家系今のうちに行っとかないと」
高級レストランで何故か貘さんは柚子シャーベットとラーメンの話を膨らませている。話題はちんぷんかんぷんだけど貘さんは居るだけで絵になる人だから、家系ラーメンの話をしている最中でさえワインを傾ける姿は絵画みたいだった。
「えーでもそれは阻止してもらいたいです。僕、貘さんがラーメン屋で半チャーセット食べてるの見るのが好きなんですよね。全然似合ってないから」
「褒めてるソレ?」貘さんの眉がくいっと上がる。
「褒めてます。ギャップ萌えってやつです」
「萌えるんだ、俺に」
「萌えますね、貘さんに」
「ふぅん。俺もよく梶ちゃんに萌えてるよ」
「どんな時に?」
「寝起きで寝ぼけてるときとか、マーくんにつられて『貘兄ちゃん』って呼んじゃって恥ずかしそうにしてる時に」
思い出しているのか貘さんが目を細めた。僕はなんだかいたたまれなくなって、フォークやナイフから手を離して膝の上で拳を作る。
「貘さんそれって、なんかすごく、ガチっぽいです」
「ガチっぽい?」
「はい。すごく」
「あはは。そうだね。俺の萌えるってなんか、すごくガチっぽいかも」
フランス料理って喉渇くね、と言って貘さんがワインを傾ける。僕もそろそろってと両手を机の上に戻して、ワイングラスを右手に持った。
僕と同級生のワインは舌にどっしり重くて、なるほど、人もワインも二〇年も生きてるとこれくらいどんよりした味わいになるのか、と感慨深い気持ちになる。重くて渋くて下駄箱っぽいにおいがするワインが他人事に思えず、僕はグラスから一旦口を離し、グラスをくるくるとまわしてみた。深い赤色の向こうに貘さんが見える。途中からワインの赤黒さより貘さんの白に視線が固定されていた。
貘さんは今日も今日とてビシッと白スーツだ。勝負とか高級レストランは勿論だけど、基本白を好む獏さんは豚骨ラーメンを食べる時もこの服装なんだから恐れ入る。
染みとか気にならないのかな、あぁこの人くらいスマートなら染みなんて作らないのかな。そうやって思いながら初めて連れ立ってラーメン屋で、がっつり白スーツにラーメンの汁を飛ばしながら食べる貘さんに僕は衝撃を受けると同時に『好きだなーこの人』と思ったものだ。今となっては懐かしい思い出である。
「今日もスーツ似合ってます」
「分かる? これ新調したの。めちゃくちゃこだわった一張羅」
「あ、ごめんなさい。そこら辺は分かんなかったです」
「おーい」
「ただ似合ってるなぁって」
「まぁ似合ってんなら良いんだけどね」
梶ちゃんも今日も似合ってるよ、と貘さんが笑う。優しいけど少しだけいじめっ子気質のある貘さんだから、今日“も”という言葉の選び方が『らしく』なくて、何となく耳にくすぐったかった。
普段の貘さんだったら絶対使わない言い回しだ。今日はそういう日だから、そんな些細な所にも違いが出るらしい。
「へへっ、僕も一応新調してきたんですよ」
ここぞとばかりに僕もネタ晴らしする。とはいっても僕のスーツはセミオーダー品で、肩幅や丈感を合わせてもらった程度のものだから、大きいことを言うのもなんか違うんだけど。
セミオーダー品は生地や形があらかじめ決まっているし、作りたいと思ってから数週間でパパっと作ってもらうことが出来る。
貘さんが『めちゃくちゃこだわった』というくらい気合の入ったスーツは、一体どれくらいで出来上がったんだろう。多分あちらはフルオーダーの逸品だろうし、貘さんは細くて訳わかんないくらいスタイル良いから、きっと採寸とか大変だっただろうな。どれくらいかかったんだろう。時間も、ちょっとやらしい話だけどオーダー代も。
「梶ちゃん今日の為に新しいスーツ用意してくれたんだ。嬉しい」
貘さんが机に頬杖をついて、うっとりした顔で僕と僕のスーツを観察する。スーツも僕もそんなまじまじと見つめられるような代物じゃないんだけど、貘さんは一級品のスーツと顔を僕だけに向けて、もう一度「嬉しい」って、蕩けるような声で繰り返した。
「……だ、だって貘さんに食事誘われたんですもん。そりゃ気合入れますよ」
「俺が梶ちゃんを飯に誘うことなんて毎日あるじゃない。ザギンにシースー食べに行こうとか、たまには王将行きたくない? とか。一緒に住んでんだし」
「あ、ヒドい。意地悪言う」
「んふふ。意地悪に聞こえた?」
「聞こえました」
「そうだね。ごめんね。浮かれちゃって、意地悪言っちゃった」
メイン料理が運ばれてきた。白くてデカい皿の真ん中に少しレアっぽい肉が置かれている。白の真ん中に赤があって、さっきのワインを飲んでる貘さんみたいだと思った────とかなんとか考えていたら、おもむろに貘さんも机に四角い箱をポンと置いた。
サイズは手のひらに収まるくらい。サッと目を引く色合いの箱には、ハイブランドといえばコレ! ってくらい有名なブランドのロゴが刻印されている。
その箱が僕に正面を向いてぽつねんと置かれたもんだから、僕は慎重に切っていた肉に思わず力を込めてしまった。皿をナイフが引っ掻いて、キキィ、と鳴らしちゃいけない音が高級レストランに響きわたる。
「え、ちょ、え? 今ですか?」
目線が箱から離せず、僕は手元の感覚だけで肉を切り分けフォークに肉をぶっ刺す。多分ここら辺にソースがあるだろうと勘で皿に肉をこすり付けて口に運ぶが、全然肉にソースは付いていなかったし、思ったより切り分けた肉はデカすぎて一度じゃ口に入りきらなかった。
「今はまだ渡さないよ。食事が終ってから」
「気が気じゃなくて食事どころじゃないんですけどっ」
「お、良いねー。どんどん意識しちゃって。いや、タイミング図ってたら緊張のしすぎで心臓止まりそうになっちゃってさ? これは体に悪いってことで、早めに出してみました」
「つ、突っ込みにくいぃ……」
仕方ないので食事を続行する。そりゃ今日はそういう日だって散々思ってたけど、いざ小道具まで出されると緊張が一気に体を走った。手がブルブルと震え、ギロの演奏者かってくらい皿をキイキイと鳴らしてしまう。今すぐにでも摘まみだされそうなテーブルマナーにも関わらず、何か察してくれているのか、店のスタッフをはじめ隣の老夫婦さえ僕のことを生易しい目で見守ってくれていた。
「梶ちゃん大丈夫? ギロの演奏してるみたいだよ?」
「言わないでください自覚してます……うぅ、せっかくの肉なのに味分かんない。つうかもう早く食べ終わりたい。箸欲しい」
「ナイフとフォークも練習あるのみだよ。梶ちゃんはこれから、沢山いいお店に行くんだから」
貘さんもメインを食べ始める。人の気も知らないでと思ったけど、普段テーブルマナーが完璧な貘さんが、今日は僕と同じくらい皿をキキィと引っ掻いていた。僕に合わせてくれたのか、それとも貘さんも僕と同じくらい気が気じゃないのか。
僕と貘さんは会話もそこそこに、まるでめちゃくちゃ腹が減ってる人たちみたいに黙々と肉を食べ進めていった。周りの目は優しいし、被りつく肉は柔らかい。うん、柔らかい。それは分かる。それしか分かんない。周りに飛び散っていたソースも改めて食べたら美味しかったとは思うけど、残念ながら味覚が途中からぶっ飛んでいたので、触感以外はよく覚えていなかった。
そんな感じで楽しみだった肉料理はさっさと終わり、僕達の近くに居た上品そうな老夫婦は上品そうに席を立って行ってしまった。夜は少しだけ僕達の時間に近付き、夜景はより一層眩くなる。
食後のコーヒーを飲み始めた頃、貘さんが箱を僕の方へと差し出して、恭しく蓋を開けた。指輪でも入ってるのかと思ったそれには、シンプルなネクタイピンが入っていた。銀色が静かに光っている。一見して僕が気軽に持って良い代物じゃないと分かった。
「指輪かと思っちゃいました」
「流石に最初っからソレは重いでしょ。ちょっと考えたけどね。でもって、指輪と同じ素材を使ってるっていうからプレゼントはこちらになりました」
「じゃぁほぼ意味合いは指輪じゃないですか」
「まぁね」
どうりで輝きが段違いなはずだ。
僕は箱の中に横たわるネクタイピンを手に取り、そっと台座から引き離した。ピカピカ光る本体を色んな角度から眺めていたら、裏面に何か彫られていることに気付く。今日の日付と、繊細な筆記体で “B to T.” おおう、すんごい王道な文言が彫られている。というかネクタイピンに普通こうは彫らないでしょ。本当に指輪替わりじゃん、コレ。
「なんかすごい、すごい王道ですね」
持ち上げたネクタイピンと、その向こうに居る貘さんを交互に見比べる。曖昧に笑った貘さんがワインを飲み、雑な手つきでグラスへまたワインを注いだ。マジシャン顔負けの繊細で器用な貘さんの指が、ふるふる震えて、グラスにちょっと無粋なくらいワインを注ぎ込む。
「そうかな」
「いやそうでしょ。夜景が見えるレストランでしょ? 生まれ年のワインでしょ? びしっと決まったスーツに、高そうなアクセサリー。今時珍しいくらい王道」
「王道って成功率が高いから王道って言うんでしょ? じゃぁまぁ、大人しくその道に則るよ」
「珍しい。あの貘さんが、確実性を取るなんて」
「あのね梶ちゃん。俺、こういうコトにはギャンブル性なんて求めてないの。確実が欲しいよ。当たって砕けろとか大嫌い」
言い切って、貘さんがスッと姿勢を正した。背筋を伸ばして顎を引く。横顔を輝く夜景に照らされて、背中に上手いことシャンデリアを背負った貘さんが、身体にぴったりと吸い付くように仕立て上げられた真っ白スーツに包まれて────なんてこった、少し緊張した表情で僕を見つめた。
「さて梶ちゃん」
「は、はい」
「準備は良い?」
「う、お……えぇっと、あと五分」
「ダメ」
「え、だ、ダメなんスか? じゃぁ何で聞いたんですか」
「はいって言ってほしかったの。分かるでしょ、梶ちゃん」
貘さんが待ち時間を埋めるようにワインをがぶがぶと飲む。(そんなに飲んで大丈夫なんですか、アンタ実はそこまでお酒強くないのに)と僕は少しだけ心配になってしまうけど、貘さんはすっかりワイングラスを乾かして、また「さてさて梶ちゃん」と仕切り直しを始めた。
「見て分かる通り今日が『その日』です。待たせたかな。それとも早かったかな。分からないけど、これから先も変わらない気持ちだから今日言おうと思うんだ」
「はい……」
「真剣に聞いてほしい。いまから俺は君に愛の告白をします」
「は、はひ……!」
「君のことが好きです。心から。俺と恋人になってくれませんか」
びっくりするくらいシンプルな告白だった。オリジナリティとか探す方がバカバカしいくらい王道な台詞は、貘さんの、『他の意味なんて何一つ汲み取らせる気はねぇぞ』って気持ちが伝わってくる。
稀代のギャンブラーだ。世に轟くトリックスターだ。そんな貘さんが、こんな奇をてらわない着実な道を歩いた。イチかバチかの世界でしか生きられない人だと思ってたのに、確実が欲しいって王道を、粛々と敷いて、僕のために。
とてもじゃないけど貘さんの顔なんて見ていられなかった。僕は真っ赤になった顔を下に向け、ハッハッ、と全力疾走した犬みたいに荒くなった息を整える。茹った脳みそから語彙を拾い上げ、相応しい言葉はないかと探した。
『嬉しい』『光栄です』『僕も貴方が』
なんだろう、何を言ったら一番良いんだろう。気の利いた台詞がサラリと言えたら最高なんだろうけど、それはどうにも高望みだ。僕らしい台詞ってなんだろう。貘さんが嬉しい台詞ってなんだろう。
分かんない。それともこんなに王道を貫いた告白なんだから、僕もなんの捻りも無く、ただ「はい」って、頷いて笑えたらそれで良いんだろうか。