1866

 
「はぁ、ぅ…ッ!? …やぁっ! だめっ…っあっ…ッ♡」

 貘さんが出したものでぐっちゃぐちゃな後ろに、何かまた、悪戯を仕掛けてきそうな指が伸びてきた。
 もう無理、死んじゃう。半べそをかきながら泣き言を垂れる僕の頬にキスをして、心臓が戻って以来絶好調すぎる貘さんはにこぉっと綺麗な笑顔を浮かべた。

「大丈夫だいじょーぶ♡ 梶ちゃんはさ、そのままうつ伏せで寝てて良いから。ほら、俺が動くだけで、梶ちゃんはベッドにゴロンだよ? 余裕だって」
「よ、ゆうなんてっ…! もう1時間前くらいから消えてますっ」

 いやもう正確には熱烈なキスをかまされた2時間前からとっくに余裕のよの字も無い。部屋に入った途端抱き締められて、かつてはあんなに非力だった腕にひょいっと抱きかかえられたっきり、僕はずーっと貘さんに翻弄されてきた。
 舌で口の中をねっとり愛されたと思ったら次は舌が胸に降りてきて、下半身に降りてきて、ちんこもお尻の穴もしっちゃかめっちゃかにされたと思ったら最後にはバッキバキの貘さんがずっぷりだ。

 貘さんはめちゃくちゃ上手いし、行為の最中も「梶ちゃん可愛いね」「大好きだよ」「上手だね、すっごく偉い」とたっぷり褒めてくれるから痛みや苦痛を感じることは無いけど、でもだからって、何事も限度を超えたら辛いのだ。気持ちが良いけど、気持ちが良すぎるから、もう無理だった。中の弱いとこを全部ずこずこされて、一番奥に精液を何度もびゅーびゅーされて、快楽と幸せで身体中を掻き回された僕は、既にトんでないことが不思議なくらい限界だった。

「ひっ…!! あ、っあ゛ぁんッ!!♡ んぅ、…ッ♡ お゛っ、ん゛ッ! んンっ!!♡」
「梶ちゃんのお尻随分ふわふわになってきたね♡ さっきまであんなにギューギュー俺のこと締め付けてきてたのに、いまは全然締め付けてこない。俺のこともう飽きちゃった? ギューってしたくないの?」
「ひっ…!♡♡ あ゛あッ!♡♡ ちがっ、ちがうぅ…!!」

 貘さんの言葉に夢中で頭を振る。力が入らなくなってきたのは事実で、貘さんの自身を打ち込まれても、いつものように締めたり、貘さんの形に合わせて、ねっちり中の肉で貘さんを包むことは出来なくなっていた。
 緩くて反応も鈍くて、そりゃぁ貘さんからしたら最初より掘ってても楽しくないとは思う。でも、違う、違うんです。飽きてるわけじゃないんです。貘さんにいっぱい擦られて、擦られすぎて、もう今日の僕の穴は戻らないんですよ。馬鹿になって、自分でもコントロール出来ないんです。

 本当はもっと貘さんに気持ち良くなってもらいたいし、貘さんのちんこに、僕の身体全部を使って大好きって伝えたい。気持ちはあるんだけど、体は良くも悪くも正直だ。入ってくる貘さんを押し返す力も、抜かれていく貘さんに追い縋る力ももう僕には残ってない。今の僕に出来るのは貘さんにがばがばにされた穴を貘さんに差し出し続けることだけで、口から馬鹿みたいに声を垂れ流して、貘さんとのえっちが嫌いじゃないって伝える、それだけだった。

「も、おしりっ…! ちがうのばくしゃ…! ぼくもっ、ちからがァ…!!♡♡」
「なーんてね! 嘘うそゴメンね。分かってるよ。梶ちゃんはずっと俺が大好きだよね。ずっと頑張ってるから疲れちゃって、締めようと思っても締めらんないんだよね?」
「く、ぅんッ…ッン!♡ やぁ゛っ!♡ っあぅ…ッ…! んぅうっ!♡♡♡」
「意地悪言っちゃった。ゴメンね梶ちゃん。こんなに素直に俺のこと受け入れてくれるおしりが、俺に冷たいわけないのにね」
「ひ、あ゛ッ♡♡ ひっ♡♡ あ゛ァア゛っ!!♡♡」

 ずぷん!って何度目かの結腸可愛がり。奥の奥をぶち抜いて、貘さんはうつ伏せになってる僕にのしかかり、上機嫌に腰を振っていた。

「らめぇええ゛っ!!♡ き、きちゃうっ! きち゛ゃうぅ゛う゛ッ!!♡♡♡♡♡」
「いーよいーよ。何度でもイって、何度でもおかしくなってね。可愛い梶ちゃん。大事な大事な俺の宝物。愛してるよ。大好き」

 脳みそが溶けそうなくらい甘いことを言われて、いーよ、の言葉に安心して僕は絶頂に達する。射精って呼んで良いのか分かんないくらい少しの液体がちんこからちょろっと出て、続けざまに僕の中に、一回目と変わんない質量がどがんとやってきた。
 貘さんは僕の首元にキスをしながら大好きを繰り返している。心も身体も全く熱が引く気配のない貘さんは、僕の中でむくむくと膨れていきながら、またしても綺麗な笑顔で「あのさ、梶ちゃん…」と僕に交渉を持ちかけるのだった。